猫は神秘な力があるみたい。
小さい頃、飼っていた猫が老衰で死んでしまい、私がわんわん泣いた時、祖母が
「あんまり泣いてはいけない」
と前置きして話してくれた。


猫は死ぬ時に飼い主の不幸を、しょえるだけ背負って逝くのだそうな。
人間の不幸は大きく重く、力に余るほどなので、猫の足元はヨロヨロしている。
それなのに人間が悲しんで嘆くと、猫は後ろ髪を引かれて前へ進めなくなり難儀する。
それを避けるために、猫は死期を悟ると姿を隠し、不慮の事故でもない限り屍を見せない。
だから、飼い主は泣き悲しむ代わりに、心からのお礼と供養のために、新しい猫を飼ってやるのだという。


考えてみれば確かにうちの老猫も2.3日前に飼い主に向かってお別れをしていたな。
私にとって悲しい「猫の知らせ」だった。